林 忠昭さん

林 忠昭さん
株式会社 力一プ 代表取締役

はやし ただあき

1935年東京都生まれ。61年経済学部卒業。いすゞ自動車を経てアルコ写真工業に入社。
62年同社倒産の憂き目に遭う。他社に技術者を引き抜かれ、窮地に陥る。64年株式会社カープ設立(東京都小金井市)2005年母校に対して、家計急変のため学業継続困難な学生を対象とした奨学金(給付型)制度(基金)を設立。以降、毎年寄付を行う。11年法政大学3号評議員に就任。17年同退任

家計急変を冠奨学金で支援

経済大国ニッポン。その一方で、今やおよそ40パーセントもの法大生が、奨学金を受給しているといわれています。株式会社力一プの林社長は、家計が急変した学生の負担を少しでも減らすべく、2005年より、母校・法政大学において、自らの名前を冠した奨学金(給付型)制度(基金)を設立しました。世に言うノブレス・オブリージュ(社会的地位の保持には責任が伴うこと)を地でいくその半生についてお伺いしました。

防犯レンズの製販で手堅く

JR中央線は東小金井駅前の一等地に社屋を構えておられますね

若い時に貯めた貯金と借金で買いました。
主な生業は、ドア・ビューアーという、扉に付ける防犯レンズの製造と販売です。部品の一部こそ購入していますが、この地で一つ一つ組み立てています。レンズ研磨機も最新型を導入しています。自宅も近くなんですよ。

社名の由来は

カープといえば英語で「鯉」、つまり「鯉のぼり」です。鯉の滝登りということにひっかけて、縁起を担ぎました(笑)。

東京都防犯協会から感謝状を贈呈されるなど、社業は順調のようですね。

ありがとうございます。おかげ様で、主力商品であるドア・ビューアーは、シェアでいうと、全国の90パーセントは超えていると自負しています。なにせ、消防法の関係でホテルのドアには必ず設置しなければならず、住宅用にいたってはドアのリフォーム需要に支えられていますので、結構手堅い商いなんです。 防犯協会の感謝状は、なんといってもステータスですね。このような公的機関からの「お墨付き」はお客様に対して信用をアピールする絶好の手段であると理解しています。

挫折を経て、一念発起し起業

ところで、起業されたきっかけは何ですか

実は大学卒業後「いすゞ自動車」に入ったんですが、カメラ好きが高じて、すぐさま8ミリカメラの先駆けとして有名な「アルコ写真工業」というメーカーに転職したんです。ところが運悪く、あっという間に倒産してしまいました。 挫折感に漫りきっている間、自分に出来ることは何だろうかと自問自答した結果、それまで高品質レンズの製作に携わっていたことと、これからは防犯産業が脚光を浴びるであろうとひらめいたものですから、防犯レンズの会社を起こそう、これならば勝算あり、と一念発起した訳です。 年配の方はご記憶があろうかと思いますが、1964年当時、公団住宅のドアには小さなガラスの窓があり、そこには鉄のふたがついていました。でも、それでは外から中が丸見えで、そもそも防犯上問題だったんです。そこで、ドアを聞けずに中から外が確認できるモノを作れば必ず売れる、そう確信したんです。

その頃ご苦労された経験が、奨学金を支給しようという動機になったのでしょうか。

はい、そうです。なにせ私は7人兄弟の3番目で、親は子供たち全員に等しく目をかける余裕がなかったんですね。はっきり言って、学生時代は恵まれませんでした。 そんな訳ですから、それこそ一心不乱に働きました。その結果、弟たちの学費は私が全額出してあげました。当時の会社員の2倍以上の収入があったかと記憶しています。自慢ではありませんが、なにせ月給がl万1000円の時代に、定価7万8000円のカメラを月50台以上も売ったことがあるんですから。
奨学金への寄付は、さながら「喜捨の心」ですね。税金として大枚を払うより、ずっとマシです(笑)。

なかなか出来ることではありませんね。

私は母校・法政大学で勉強できたことを誇りに思っており、「愛情」を持っています。でもそれ以上に、家族に対する愛情はなみなみならぬものがあります。愛する家族があってこそ、今の私があります。
実は女房を早くに亡くし、本当につらい時期がありました。でも、あとで娘から聞いた話ですが、ことあるごとに、お父さんのような人と結婚できればいいねと母娘(おやこ)で語っていたそうで、うれしくてうれしくて胸がいっぱいになりました。
家族のために粉骨砕身、仕事に邁進したからこその結果であろうと、家族への感謝と ともに、今では誇りに思っています。
こういう体験を経て、さらに人にやさしくしなければならないという思いが強くな り、奨学金を通じて母校へ思返ししようと思うに到った訳です。

ところで、そもそも、法政大学を選んだ理由は

出身高校である東京都立芝商業高校の同級生に影響されたところが大です。今思うと、これがわが人生最大の「岐路」でしたね。結果として大正解でした。

悔いのない人生を健康第一で

-座右の銘、人生訓は何ですか?

「何ごとも、一所懸命に取り組むこと」です。そうすれば、たとえ失敗しても悔いは残らないでしょう。それと、人に対する「思いやり」、これも大事です。

健康を保つ秘訣は何でしょうか

まず、毎朝10分間のラジオ体操です。意識して身体を柔らかくすることで、歩いていても、つまづきにくくなるんですよ。人生と一緒かなあ(笑)。あと、日帰り温泉巡り。入った後は必ず十割ソパをたぐります。ソバはカラダに良いんですよ。
月l回のサイクリングもやってます。往復20キロぐらいの行程は、なんてことありません。

就職ならホワイト、市ヶ谷を広く

今の法大生や大学に一言お願いします

就職する場合は入る会社がどういうところかを十分に見極めることです。今ようやく世間では「働き方改革」なんて言い出しましたが、ウチはもともとサービス残業なんてさせないし、パートさんにもボーナスを出しているホワイト企業なんです。
そして私の夢は市ヶ谷キャンパスをもっと広くすること。今はそれだけです。

OB・OGインタビューTOPへ戻る

TOPへ